Solyuの気まま日記

Solyuの思ったことや考えたことをまとめます

クロスウォール上達への道 制作裏話

2023/06/01~2023/06/30に掛けて、Puzzle Squareにてクロスウォールの解説付き問題を1日1問ずつ投稿しました(問題は以下のリンクか、あるいはハッシュタグ『#クロスウォール上達への道』で検索できます)。

puzsq.logicpuzzle.app

今回は、このシリーズ30問を作るにあたっての裏話を書こうと思います。

1 きっかけ

きっかけは、クロスウォールの解き筋についての記事第二弾を作ろうとしていたときにまでさかのぼります。

その頃、ゲームなどのチュートリアルについて考える機会が有り、多くの良ゲーは『習うより慣れろ』の精神で初めからゲームをプレイできるようにしているという知識を得ました。そこで、私はこう考えました。

《それなら、初めから簡単かつ応用の利く問題を用意して、クロスウォールに触れたばかりの方でも解き筋を自然に理解できるようにすれば良いのでは……?》

そう思った私は、第二弾をボツにし、内容の構想に移りました。

まず、いつどうやって投稿するかです。一気に問題を投稿すると、その一瞬しか見られないかもしれないと思い、1日1問と忘れられないくらいの投稿ペースで一定期間投稿する形式としました。都合の良いことに、6月が丁度30日有ったので、この期間に投稿することに決めました。

2 章立て

30=5×6=6×5なので、5章か6章立てとする方針を立てました。そうなると、各章に5~6問分の問題が割り当てられることとなります。

要点を短く簡潔にまとめる目的から、1章=1テーマあたり5問、そして最後の問題はボス問=総復習として実質1テーマにつき4問で制作することとしました(つまり、6章立てを選んだこととなります)。

さて、クロスウォールの手筋を語るにあたり、以下の様に分類しました。

  • 2色塗分けに関する基本手筋
    →内側度の偶奇で塗り分けできる、隣り合う領域は異なる色etc…
  • 内側度に関する基本手筋
    →内側度0は外周と接続、内側度2は外周と接しないetc…
  • 小ループに関する基本手筋
    →内側度0は盤面を分断しない、既に有る小ループは角を交差で回避etc…
  • マス同士の繋がりに関する手筋(応用手筋)
    →面積の確保、接続線の決定etc…
  • 大域的な見方を要求する手筋(応用手筋)
    →内側度0の脱出、見えにくい小ループ禁etc…

……5つしかない。何と、ネタ切れが起きてしまったのです。*1そうなると、何かおまけとなるものを用意する必要が有ります。
そこでふとPatrick's Parabox*2というゲームを思い出した私は、こう考えました。

《バリアント(変種)を紹介すればいいのでは?》

かくして、第6章はバリアント紹介編となりました。紹介編と言いつつ、初出のバリアントが有りましたが……理由は後述します。

さて、次に考えるべきは、各章の並び順です。2色塗り分けは有ると無いとで大きく話が変わる上に、非自明な性質なので、最初に述べることにしました。

小ループと内側度に関しては、小ループの方がやや高度な手筋を用いるので、こちらを後の方にしました。

大域的な見方はかなり難しく、第5章に回しました。*3

こうして、各章の並び順が決定しました。後は、問題制作です。

3 問題制作

問題制作にあたって、次の内容を重視しました。

  1. その問題より後の問題で紹介する手筋は、一切使わないで解ける
    例えば、2章までの問題は、小ループを全く気にすることなく解けるように設計してあります(これは地味に苦労する箇所でした)。
  2. 配置よりも作意を重視
    作意=その問題のテーマをなるべく前面に押し出せるように設計し、それ以外の要素での試行錯誤はなるべく排除しました。
    この影響で、作意を伝える為の余剰ヒントがかなり多くの箇所に存在します。その分、作意に関わるヒントはその作意が伝わる最小限のヒント量に収めています(収めているはずです)。
  3. 問題はなるべくコンパクトに
    問題そのものが説明となるので、なるべく冗長にならないように、基本は5×5の中に収めるようにしました(内側度3~などのテーマはどうしても難しく、最大7×7まで許容しました)。
    これは、解説量の削減という思わぬ効用ももたらしました。
  4. ボス問は少し大きめに
    先程の例外がボス問で、ここだけサイズをやや大きめにしました。見た目的にも難易度が少し高めになっていることを伝える為です。
    スーパーマリオブラザーズ初代で、どの面でもステージ4が城=難易度の山場となっていることを真似した結果となっています。その方が、ボスらしさも有って良いと思いました。
  5. バリアントは、今までの手筋を別方向から見直す形で
    形状バリアントは2色塗分け、城バリアントは内側度のテーマを少し捻った形として出題しました。小ループはどうしても思い当たるものが無く、仕方なく線と接続のテーマにスリザーリンクと視界のバリアントの2つを対応させました。

体感としては、5-4が最も制作に時間を掛けました。もともと5章の各問題のテーマは最後までなかなか決まっておらず、更に他のテーマとの被りを避けた結果、非常に時間が掛かってしまいました。

逆に3-1・4-1・4-3辺りは、比較的短い時間で制作できたと思います。この辺りは以前に同じテーマで作問したことが有ったため、かなり楽が出来ました。

4 後記

さて、解説まで用意した問題×30を1か月にわたって投稿しました。終わって見れば、解答記録者だけでも60人以上の方が解いて下さり、良い反応も多く頂きました。30問を用意した甲斐が有ったと実感しております。

ボツ問も含めて幾つかストックが有るので、尽きるまでは今後も1日1問投稿を続けようと思います。以前のように、新たなバリアントも出題出来ればと思います。

 

 

ここまでお読み下さり、ありがとうございます。それでは、良い一日を。

 

 

*1:このことは、産まれて1年も経たないパズルなので、ある程度仕方ないとも思っています。ネタだけで1ヶ月持つパズルは、その時点でかなり奥が深いと思います

*2:箱の中に箱という再帰構造がコンセプトの倉庫番パズルで、おまけ編では特殊ルールが追加されたパズルがプレイできます。

*3:余談ですが、全ての問題の難易度は解説をある程度流し読みしてから解く想定でランク付けしています。特に第4,5章の問題は難問が多く、中でも5-3から5-5はノーヒントで出題されればまずアゼンは免れないでしょう。