Solyuの気まま日記

Solyuの思ったことや考えたことをまとめます

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

並行パズル邂逅記 終章

11. 大団円 そこは、雲の中のような景色。白で囲まれた幻想的な景色。ここが、世界の境界線であるらしい。「ここに、元の世界への扉を開く、『最後のパズル』が有るはずです」その言葉を信じ、二人で歩き続ける。程なくして、地面に落ちているパズルを見つけ…

並行パズル邂逅記 第10章

10. 光の通ずる旅路 僅かなランプで照らされた、洞窟の中。1問の小さなパズルが、私たちを出迎えていた。4×4の盤面の中に、幾つかの数字が記されている。「これもパズルでしょうか?ルールが掴めません……」デコの手助けになればと思い、私は似たパズルを考…

並行パズル邂逅記 第9章

9. 交わる色、離れ行く世界 私とデコは、地図の通り太陽の方角へと向かっていた。デコによれば、もうすぐ終着点が見えてくる距離になっているらしい。それにしても、この世界は色彩で飽きさせない。普段パズルを眺めていても、白と黒、せいぜい薄黄色か薄緑…

並行パズル邂逅記 第8章

8. 目覚めの時が来る どれくらい遠くへと来ただろうか。一日ぶりに、私は人工物らしきものを見た。「この建物は、いったい何なのでしょうか……私たちを迎え入れているようですが、その理由は皆目見当もつきません」彗星の導く先には、白く輝いた建物があった…

並行パズル邂逅記 第7章

7. 夜空を照らす閃き 夜が訪れた。静寂の中、私は僅かな明かりを頼りにデコの地図を眺める。辺りの暗さとは裏腹に、私の思考は眠気に覆われるどころか冴えるばかりだ。ずっとパズルを解いているが、思考はより鋭く磨かれている。そして、眠気が来ないのはデ…

並行パズル邂逅記 第6章

6. 虫の知らせが導く 私たちの旅は、一つの中継地点に着いたようだった。蛇に別れを言い、デコと一緒に大きく手を振る。蛇は満足げに帰っていった。眼前に広がるのは、赤や黄色に色鮮やかな森。「あちらこちらで紅葉が見られますね。秋のようです」ここでは…

並行パズル邂逅記 第5章

5. 隣人の顔も霞む 蛇の背中に乗ってから、どれくらい時間がたっただろうか。周囲を深い霧で覆われ、時間感覚さえ失われている。それにしても、この霧の濃さ……尋常ではない。「蛇さんも、行き先を見失っているようですね……」デコは不安げにこちらを見やる。…

並行パズル邂逅記 第4章

4. Elephant in the room, snake in the puzzle 目の前の景色が、延々と続くように見えた。「中々遠いですね……道は合っている筈なのですが」デコが手に持っている紙には、先程現れた地図が正確に写されている。どうやったのか尋ねてみると、「パズルなら何で…

並行パズル邂逅記 第3章

3. 氷山の一角 「お客様は、私が存じ上げないパズルを多数ご存じのようです」デコの方こそ、と私は呟く。ここにはどうも、聞いたことのないパズルが多く有るらしい。今までいろんなパズルに触れてきたと思っていたが、パズルの世界はこんなにも広く見渡しき…

並行パズル邂逅記 第2章

2. 解き難き牙城 「では、先ほどのお城に戻りましょう。城内散歩も楽しいですよ」デコの後ろを着いていくと、そこには大きな門があった。目覚めたときにいた場所の、入口らしい。早速中に入ると、大きな庭園が待ち受けていた。「沢山の石像が並んでいるのが…

並行パズル邂逅記 第1章

1. 隅に置けない問題 穏やかな風が吹く、草原の中。 小さなテーブルをはさんで、2人で座る。デコが淹れてくれた温かい紅茶に、角砂糖を1つ溶かし込む。 「どうでしょう、ここは落ち着きますか?」 そうですね、と答える。理想的な天気の中、優雅な一時を味…