Solyuの気まま日記

Solyuの思ったことや考えたことをまとめます

並行パズル邂逅記 第3章

3.    氷山の一角


「お客様は、私が存じ上げないパズルを多数ご存じのようです」
デコの方こそ、と私は呟く。ここにはどうも、聞いたことのないパズルが多く有るらしい。今までいろんなパズルに触れてきたと思っていたが、パズルの世界はこんなにも広く見渡しきれないのだと改めて思い知らされる。
「次は、少し珍しいですが数字配置のパズルをご用意しようと思います。お客様は、何かご存じのパズルは御座いますでしょうか?もしかすると、似たものが有るかもしれません」
数字配置のパズルは意外と少ない。私はナンプレの名前を挙げて紹介する。各行各列および各小正方形に1~9までの数字を1つずつ入れるパズルだ。
「面白いですね。数字そのものの意味は識別だけなのですね」
そこで私は、キラーナンプレというものを紹介する。こちらはナンプレのルールに加えて、幾つかの領域に総和や相乗が記されている。
「そうやって計算要素を加えるのですね!さぞ人気なのでしょう」
だが、デコの知っているパズルとはあまり関係が無いらしい。ナンプレのほかに、メジャーな数字配置のパズルといえば……
――加算クロス。その名前を出してみる。

 

加算クロス、略称はカックロ。1~9の数字を空いているマスに配置するパズルである。

あるマスから黒マスに遮られず見える範囲に、同じ数字を入れてはいけない。
黒マスの小さな数字は、そのマスから1方向に見える数字の和を表す。
流石にナンプレには敵わないが、かなりの大御所パズルだ。

 

「……!似たパズルを存じ上げております。『加算コーナー』、只今紹介致します」
コーナーとは、角という意味だ。一体、どの辺りが角なのだろう……

デコと共に城の中に入って数分。建物の地下へと来た私のもとに現れたのは、何枚かのタイルが抜けてくぼみとなっている壁画であった。それも……6角形の形のタイルが抜けている。
くぼみは正六角形を正三角形状に敷き詰めたような形状をしていて、中には所々黒い円が見える。

《例題》

「こちらが、加算コーナーの例題となります。

ルール1:マス目に1~Nを配置し、盤面内に1がN個、2がN-1個、…、Nが1個有るようにします。
ここで、Nとは盤面の一辺にあるマス数のことです。今回は5ですね。
ルール2:同じ数字同士は隣り合いません。
ルール3:黒い円の中の数字は、その角を頂点に持つ最大3マスの数字の合計です。


だから角なのか、と私は納得する。加算クロスの亜種に、加算サークルという円の周囲8マスの和を表出するパズルが有るが、それと似たネーミングだ。
一方で、あらかじめ入れる数字の個数が決まっているのは、ナンプレに近いだろうか。
「では、実際に『手を動かして』みましょう」
この壁画を完成させると、何が起こるのだろう。そんな期待を胸に、タイルを嵌めていくこととした。

 

《仕様上、この記事の問題は全て、青い数字のみを判定します。
黒や緑などで数字を記入しても解答と認識されませんので、ご注意下さい》

Sample

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《例題の解答/解答のイメージ図》

 

壁画が完成した。それは何かの模様らしき姿に変わったが、まだこれだけでは推測は難しい。
すると、デコが壁の一部を指さして私を呼ぶ。
「近くにも、タイルが剥がれている箇所が有りますね。埋めてみましょう」
そこには、先程より1周り大きな穴が有った。先程の例題に対して、こちらは本題という訳だ。
どんな模様が出来上がるのか想像しつつ、私は壁へと向かった。

Q1

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Q2 《08/08公開》

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Q3 《08/09公開》

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全ての壁が修復され、後には奇妙な模様が残った。全体を俯瞰しようと一歩引いて、初めて私はその内容に気が付く。
――地図。もしかすると、ここの地図なのかもしれない。
「となると、この色の違う箇所が、次の目的地なのでしょうか?行ってみましょう」
デコの言葉に頷く。気分はすっかり、探検隊になっていた。