Solyuの気まま日記

Solyuの思ったことや考えたことをまとめます

並行パズル邂逅記 第9章

9.    交わる色、離れ行く世界


私とデコは、地図の通り太陽の方角へと向かっていた。デコによれば、もうすぐ終着点が見えてくる距離になっているらしい。
それにしても、この世界は色彩で飽きさせない。普段パズルを眺めていても、白と黒、せいぜい薄黄色か薄緑色くらいしか見かける色が無い。それはパズルというものの1つの完成されたデザインであり、私も実際にこの無機質な感じが好みだ。だが、たまにはそうでないものが有ったって良い。
何でそんなことを思ったのか、ひとえに私がこの世界に愛着を感じてき始めたからであろう。もうすぐ旅が終わるというのが、実に名残惜しい。
「この世界がこんなに生き生きしているのは、久しぶりです。旅は、楽しいですね」
デコが空を眺めながら呟く。そこには、いつの間にか虹が掛かっていた。その模様を見て、ここでも光は7色なのかと妙に感動する。
そうした矢先、大地が騒ぎ出した。突如として現れる模様を、私とデコは即座にパズルであると理解した。
そして、そのパズルには、そしての色付きのパネルが有った。
「これは……単なるデザインなのでしょうか?赤+青=紫という関係性が見えます」
色がデザイン以外に関わるパズルといえば、1つ知っているものが有る。R・Bループだ。

 

RBループは、盤面に2色のループを描き、残ったマスを黒く塗り潰すパズルである。
黒マスは隣り合わず、矢印の手掛かりはその方向にある黒マスの数を示す。ここはヤジリンに似ている。
特徴的な点として、それぞれのループは自己交差せず、また辺を共有しないが、他方と交差することはできる。そして、赤・青・紫のマスにはそれぞれ赤だけ・青だけ・両方が通る(つまり紫はお互いが交差する)。
但し、これらの色付きのマスは黒く塗り潰される可能性が有り、その場合その色の手掛かりは無効となる。

 

さて、このパズルを見てみよう。デザインは全く同じだが、この盤面はR・Bループでは有り得ない。左上の紫は近くの手掛かりマスが邪魔で交差できず、従って黒マスとなる。しかし、そうなると手掛かりの0に矛盾する。やはり、少しルールの違うパズルなのだろう。
「お客様…こちらのパズルはRBPループという名前のようです」

Pという文字が出てきた。R・Bループの変種にRGBループというのが有り、こちらはGがGreenを表す。では、Pとは……

《例題》

「少々長いですが、お付き合い下さい。

ルール1:盤面に赤と青のループを1つずつ描き、残ったマスを黒マスで埋めます。
ルール2:黒マスは隣り合いません。矢印付きの数字は、その方向にある黒マスの数を表します。
ルール3:ループは、自己交差や他方との交差をしてはなりません。
ルール4:ループ同士は辺を共有できます。このとき、双方の線が互いに反対方向から出会い、出会った方向と垂直な方向に紫の線として伸びます。線が分かれるとき、双方の線は出会ったときと同じ方向にそれぞれ進みます。
ルール5:紫の線は曲折しません。
ルール6:色付きのマスは、その色の線だけが通ることを示します。色付きのマスを黒マスにしたり、そのマスの上で赤と青の線が丁度出会ったりしてはなりません。


つまり、色付きマスは黒く塗り潰されず、赤と青は交差しないが出会って一本のまっすぐな線になることがある、ということだ。
それが分かれば、後は解くだけだ。色の出会いと別れを、この盤面に記していこう。

 

《仕様上、解答は全ての線を緑色にすることで判定されます。
赤や青等の色を使った線は、基本的に判定されませんのでご注意ください》

Sample

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《例題の解答/解答のイメージ図》

 

例題が解け、祝福のように風が流れる。足が持っていかれ、ふらついた先に新しいパズルが有るのを見つける。大地のご機嫌を取るには、もう少し付き合う必要が有りそうだ。

Q1

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Q2 《08/26公開》

puzsq.logicpuzzle.app

Q3 《08/27公開》

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2つのループの出会いと別れの様子が、全て描かれた。達成感は、何処か切なささえ覚える。私とデコの間を流れる、無機質な風の音。私は暫く、声を発せずにいた。
そのとき、再度大地が騒ぎ出す。今度は、とうとう地面が割れた。そこには今や、地下へと通ずる階段が出来上がっていた。
「――この先のようです。ご一緒しましょう」
一段一段下る度に、心臓の音が静まっていくのを感じていた。再び世界は、闇に包まれる。