Solyuの気まま日記

Solyuの思ったことや考えたことをまとめます

並行パズル邂逅記 第10章

10.    光の通ずる旅路


僅かなランプで照らされた、洞窟の中。1問の小さなパズルが、私たちを出迎えていた。
4×4の盤面の中に、幾つかの数字が記されている。
「これもパズルでしょうか?ルールが掴めません……」
デコの手助けになればと思い、私は似たパズルを考える。盤面にどの数字も2つずつ有るという特徴を見出し、とあるパズルに行き着いた。ナンバーリンクだ。

 

ナンバーリンクとは、同じ数字同士を線で繋ぐパズルである。
線はマス目の中央を通るように縦横に引き、また異なる線同士は共有点を持たない。数字は識別の意味だけであり、非常にシンプルなルールのパズルといえるだろう。ハニーアイランドと同様に、このパズルもまた直感寄りと評価されやすいパズルである。
なお、暗黙の了解として、全てのマス目を線が通るという『決まり』が有る。

 

しかし、目の前の問題がナンバーリンクではないこともまた確かであった。このままでは2同士をつなぐ方法が存在しない。
「うーん、読み取れませんね……何かキーワードが有れば良いのですが……」
同じ数字同士を繋ぐ以外に、何が有るのだろう。それを知るには、このパズルの意味を考えるのが一番近いかもしれない。ここは旅の終盤。この世界と元の世界を繋ぐ為の場所。
異なる2つの世界を繋ぐもの――そう考えて、私はとある言葉に辿り着く。『ワープ』だ。この2同士を繋ぐ為には、何処かで線をワープさせる必要が有るのだ。
「有難う御座います…お客様のお陰で、ルールが読み解けました。
このパズルの名前は、ナンバーワープです」
好き勝手にワープ出来る訳でもないのだろう。その制約は、デコに教えてもらう必要が有る。

《例題》

「只今、解読が終わりました。

ルール1:盤面に幾つかの円(=ワープゲート)を描き、更にマス目の中央を通るように縦横に線を引きます。ワープゲート同士は、2つずつの対を成します。
ルール2:線は同じ数字同士を繋ぐように結び、途中で曲折しません。
但し、線がワープゲートに重なった場合、その対となるワープゲートから進行方向を変えずに線が出ます。
ルール3:ワープゲートは各行各列に1つずつ配置します。また、数字の有るマスには配置しません。
ルール4:異なる線同士は、ワープゲート以外で共有点を持ちません。


ここに来て初めて、各行各列に1つずつという比較的スタンダードな制約を見かけた。思えば、風変わりなパズルばかり解いてきたものだ。その体験も、もうすぐ終わってしまう。
目の前のパズルに向き合う。並行世界のパズルたち――『並行パズル』に、お別れを告げるときが来る。

 

《ワープゲートの記号は、記号→円→Circle_Mの1番目(パネルの一番左上にある白丸)で判定します。
また、どのワープゲート同士が対応するか記入する必要は有りません》

《このパズルはPuzzle Squareへの登録の際に、ルール1が僅かに緩和(一度も通らないワープゲートは対を成さなくても良いように変更)されました。
なお、この修正により解答に変更はありません。》

Sample

puzsq.logicpuzzle.app

 

 

《例題の解答/解答のイメージ図》

 

 

解き終わると、目の前に大きなトンネルが現れた。その中をデコと共に通ると、ほどなくして次のパズルが待ち構えていた。やはり、これは例題だったのだ。1問解くごとに次のパズルが現れるらしい。
目の前のパズルが、私には門番に思えた。立ちはだかる問題を、突破するときだ。

Q1

puzsq.logicpuzzle.app

Q2 《08/29公開》

puzsq.logicpuzzle.app

Q3 《08/30公開》

puzsq.logicpuzzle.app

 

 

 

全てを解き終えた。ふと振り向くと、デコの身体が心なしか薄まって見える。心配に思って声を掛けると、デコはか細い声で返事をした。
「心配いりません、お客様…まだ案内人の仕事は、終わっていないようです」
そのとき目の前に、真っ白なトンネルが現れた。向こう側には、光が見える。
「では、行きましょう。この旅の終着点へ」
きっと、この道は戻れないのだ……一歩一歩を踏みしめて、私は歩き出した。