Solyuの気まま日記

Solyuの思ったことや考えたことをまとめます

並行パズル邂逅記 序章

 

 

 

※ この作品はフィクションであり、一部のパズルを除き、実在する人物・団体とは一切関係ありません。
※ 《》で囲まれた文章内は、パズルなどの補足説明となります。ストーリーとは関係ありません。
※ この作品は、読者様を並行パズルの世界へ誘う可能性があります。
それでも構わない読者様は、是非この先へお進み下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


0.    序章

まずは、この状況について整理しよう。たしか昨日の夜遅くまで、自宅でパズルを解いていたはずだ。数時間の格闘の末に解き終わったのは覚えているが、その後の記憶がない。寝落ちしてしまったに違いない。
眼前に見える、芯が尽きた蝋燭と古びた照明。ついさっきまで自分が眠っていた、高級感のある白いベッド。まるで見慣れない景色だが、頬を抓れば痛みがする。知らない世界に、自分の存在が溶け込んでいるようだ。
起き上がり、辺りを見渡す。どうやらここは、何かの建物の一室らしい。外を眺めようと窓を開けると、そこには見たこともない乳白色の世界が広がっていた。
……?たった今見た光景が信じられず、思わず目を瞑る。そして、恐る恐る閉じた目を再度開けてみる。
――次に現れたのは、爽やかな風と、窓枠に収まりきらない草原だった。
ここはどうやら、地階だったらしい。格子から身を乗り出して、外の空気を味わおうとする。そこで、思いがけず何かが視界に入る。
「あら、もう起きていたのですか?おはようございます、お客様」
その、人かどうかも分からない生物は、自分に向かってお辞儀をした。
「申し遅れました、私はデコと名乗る者です。以後、お見知りおきを。
お客様は、この世界に迷い込んで来られたのですか?」
訳も分からぬまま、そうですと正直に答える。
「では、私がこの世界の案内人をさせて頂いても宜しいでしょうか?その過程で、帰り道も見つかることでしょう」
デコの申し出を、ひとまずは受け入れることとした。それ以外にどうすればいいか、私には皆目見当がつかなかったからだ。それに、帰り道という言葉も気になる。
「承りました。それでは早速、こちらの草原でお茶会としましょう」
右も左も定かでない中、奇妙な時間が幕を開けた。