Solyuの気まま日記

Solyuの思ったことや考えたことをまとめます

近況報告&束論カードゲームの製作状況について

皆さん、おはこんばにちは(死語?)。Solyuです。何と2年近くブログを放置していたことに気付きました。多分エタってないので安心して下さい。安心して下さい(念押し)。

2年の間に数学甲子園で2連覇し、メルアイコンに参考書・ホワイトボードを頂き、数理の翼に参加し、東工大に合格し、色々という言葉で収めてしまうのも勿体ないほどの経験をしたと思います。COVID-19拡大の影響で色々なことが大幅に変更され、私の身のまわりでも授業がオンラインになったり、工大祭(東工大の文化祭のようなものです)が中止になったりといった出来事がありました。インドア傾向寄りなのでそこまで外出自粛で精神に悪影響が出ることはなかったのですが、アウトドア傾向の人には非常に辛そうである……。

ですが後期になって対面授業が一部再開され、図書館も開放され、ごく一部ですが同期の人と直接会う事もありました。本当は対面でゼミか何かに参加したいのですが、このご時世なので仕方ない……そしてオンラインゼミは想像以上に良い(全員で同じボードに書き込めるとか…)事が発覚してしまったので、今後も興味ある分野には積極的に参加していきたいですね。

6月辺りまで束論と量子論理を読んでいたのですが、6章までは一通り読了した事と、7章への前提知識が足りなさすぎる(Hilbert空間の有界作用素とは…となっています)事を踏まえて別の束論の本を読むことに決めました。"Introduction to Lattices and Order"という本です。欲しいものリストに入れていたのですが、とある方がプレゼントして下さりました。この場でお礼を述べたいと思います。
誠にありがとうございます。大切に読ませていただきます。

英語に慣れていない事もあり少しスピードが遅くなっていたのですが、最近やっと3章を読み終えました。Concept Analysisという分野で、概念とそれに含まれる具体的対象との組み合わせに束としての側面を見出す話なのですが、これが面白いので今後ブログで取り上げるかもしれません。今読んでいる4章はモジュラー束と分配束の特徴づけをしている内容らしく、復刊束論入門で書いてあったことが別の視点から学べそうで期待に胸を膨らませています。

後はそうですね……多様体論はきっちりと学んでおきたいので、参考書をじっくりと読んでいきたいと考えています。勿論大学の授業の予習・復習をした上で時間の余裕があるときにやる事になりますが、前期よりはコマ数が少なく時間の確保が出来ている筈なので、今のうちに進めておきたい。

自分語りはこのくらいにして、束論カードゲームについて話そうと思います。
そもそも束論とは?という方は、私の固定ツイートから束についての説明を探してみて下さい。文字数をかなり省いているので言葉足らずなところが有りますが、ひとまず束という概念がどんなものか分かるように書いたと思います(今後ブログできっちりした説明を書こうかなと思っています。その場合はこの文章を変更してブログ内リンクという形にしようと考えています)。

そもそも束論をテーマにゲームを作ろうと思ったのは、束論の布教周知活動をしたいというのが理由です。束は結構色んな所に顔を出すのですが、その状況毎に分けて考えられる事が多いらしく、中々『束』としてより抽象的に捉えることが少ない様です。

そこで『ナブラ演算子ゲーム』/『素数大富豪 Lv.0』/『集合トランプ』等の数学の概念(ナブラ演算子は物理の記号ですが、ゲーム内では物理的側面よりもむしろ「全ての基底を一階微分する」という意味で使われているので含める事にします)とカードゲームを上手く融合させている既存のゲームに倣い、束論をカードゲームとして上手く組み込むことにしました。

さて、周知活動をしたいのですから宣伝する場所を考える、というのは自然な流れだと思います。ですが、肝心のゲームに魅力がなければいくら宣伝しても無駄でしょうし、所謂クソゲーだと宣伝する気力自体が起きません。という訳で、数学的背景は抜きにして良ゲーを作り上げないといけないのです。

良ゲーとはなにか、という事は私が下手に考えるよりも遥かに良質な内容の記事があるのでそちらに譲るとして、今回の目的は束論の周知活動なので分かりやすさに焦点を当てる事にしました。分かりやすさと奥深さとはトレードオフの関係で語られることが多いのですが、そもそも束論は元々が奥深い分野だと思うので下手にゲームで奥深さを追求するのもどうかという事と、ただの数学演習みたいになってしまうとゲームの意味がなくなりそうだという事が理由です。

カードゲーム作成に当たって、こうしたいと思っていることをまとめます。

  1. カード枚数を80枚以内に収める
    まず、カードゲームなのでほぼ確実にシャッフルをしなければならない場面が有ります。気になるのはシャッフルがしにくくならないかという事です。
    一般的なトランプカード1枚の厚みは凡そ0.25~0.3mmであるそうです。仮に0.3mmだとして、80枚あると全体で2.4cmになります。2.4cmならそこまでシャッフルに苦労しない……のですが、考えなければならないことが有ります。スリーブです。
    スリーブ自体のシャッフルしやすさの問題はさておいて、先程の1.8cmにスリーブの厚みを加えます。スリーブを複数枚使う事は考えないとして、1枚につき種類にもよりますが0.05mm~0.15mmほどあります。耐久性も考えて一番幅のある0.15mmで計算すると合計3.6cmです。3.6cmは一気にシャッフルがしにくくなります。自分の手でやってみたところ、ギリギリシャッフルが出来る厚みが3.8cmでした。それ以上(4.0cm)ではカードの山を上手く片手でおさえることが出来ず、シャッフルの途中でカードが衝突したり、上手くキャッチできなかったり、手から滑って山ごと落としたりと、プレイングを阻害するには十分といえるものでした。実際には子供や手の小さい方にもプレイしてもらいたいことを考えると、やはり3.6cm以内に抑えておいた方が無難でしょう。
    という訳で、80枚以下、出来れば60枚以下に収めたいです。因みに、ナブラ演算子ゲームは80枚、集合トランプは64枚、素数大富豪 Lv.0は上級者向けカード込みで54枚でした。通常のトランプが52+2枚なので商品化されているものは大体50~80枚くらいなのかな?と思っていたら、なんとUNOが112枚でした。……マジですか。単純計算で、スリーブなしで3.4cmです。スリーブなしだとカードがたわむ事が多いので、実際には1~2mmくらい厚くなると思います。流石に子供が1人でシャッフルするには厚すぎると推測されるので、複数人で手分けする等でどうにかするのだと思います。
  2. ゲームの目的を明確にする
    例えばナブラ演算子ゲームなら、『相手の基底を全滅させる』という明確な終了条件が有り、そこから『相手の基底を消えやすい様に攻撃する』『自分の基底を容易に消えない様に防御する』といった戦略の骨格が出来上がります。素数大富豪(Lv.0に限らず)では、『自分の手札を全て消すと勝利』『大きい素数ほど強い』といった非常に分かりやすい基本ルールが有ります。通常のトランプや集合トランプは多くの遊び方が考えられるカードですが、それぞれのゲームでの目的は明確です。
    目的が明確というのは非常に素晴らしくて、初心者でも自分が何をすればいいのかが分かって行動できます。これがもし分かっていないと、五里霧中の状態に陥ってしまいます。上級者相手だと、意味も分からずに相手にボコボコにされることになりますよね。これではせっかく体験して下さった方も、再び遊びたいとは思わなくなるのではないでしょうか。
    そして多くの場合、その目的はプレイヤーに「そうしたい!」と思わせなければなりません。特に説明に時間を割けないアーケードゲーム等では、この傾向が顕著です。何をすればいいか指示がされないという事は、つまり自由に選択できるのですから、やりたいことが有ったらその方に向かってしまうプレイヤーが増えてしまうのは当然の帰結でしょう。
    難しい点として、下手に一つの目的に焦点を絞り過ぎるとゲーム自体の戦略性を減らしてしまいます。戦略性がない単調なゲームは、もはやただの運試しです。それでも人生ゲーム等は上手いフレーバーやストーリー性を付け加える等の工夫をして面白いゲームに仕上がっているのですが、束論にフレーバーを付け加えてしまうのは忌避感が有ります。下手すると学問への冒涜などと言われかねません(流石に極端だとは思いますが、有り得ないとは言い切れません)。なので調整を繰り返しているのですが、未だに上手くいかない。どうすればよいのでしょう……
  3. 無駄な時間を極力作らない
    ゲームは基本的に、暇な時間を潰すために使われます。若しくは、複数人の交流の場を作るアイテムとしての機能も無視すべきではないでしょう。この二つの要素を著しく欠いてしまうと、『ゲームをやって不満を味わう』という最悪の事態が起こり得ます。これだけは絶対に避けたい事態です。
    例えば所謂『ゲー無』といわれるもの。ゲームバランスが崩壊している・ゲームの内容が非常に薄い・エンターテイメント性が殆どない等といった要素が挙げられます。無為な作業をさせられているだけというのが近いでしょうか。
    次に無駄・持て余す時間が極端に長いもの。例えば負けが完全に確定している状況では、もう早く切り上げたいと思うものです。その状況で『負けるために時間を浪費させられる』というのは非常に疎まれることだと思います。10分も続いたらかなりの人が苛立ってしまうのではないでしょうか。
    こういった時間を作ってしまう要因として、一つには『単調・一方的なゲーム展開』が挙げられます。明確な勝ちと負けが早々に決まってしまい、残りは消化試合と化してしまう。こういった事態は出来る限り避けるべきです。
    回避策としては一発逆転要素の追加、そして戦略の拡大が有ります。戦略が多くなれば無数のゲーム展開が出来、勝ち負けの明確な予想が難しくなることが期待できます。勿論、戦略の相性によって有利不利が出てしまう事を考慮に入れなければいけません(ここのバランスが崩れると、事実上戦略が一つだけになってしまいます)。ここはテストプレイを重ねることで上手く調整したい所です。
    ところで、無駄な時間を作らないという観点から見ると、非常に悪いゲームとなってしまうのが人狼(ワンナイト人狼等は除く)です。序盤に死んでしまうと以降はゲームに参加できないので、長い空き時間が出来てしまいます。それでも観戦して味方サイドを応援することは可能ですが、妖狐(基本的に味方が誰一人いない、第三勢力)だった場合はもうどうしようもありません。ネット対戦だとほかの試合にすぐ移ることも出来そうですが、仲間内でやっていた場合はやはり大幅な待ち時間が発生してしまいます。私自身は人狼がすごく好きなのですが、この点は上手い事解決できないものなのでしょうか……

以上のことを考えつつ制作しています。今年の冬辺りまでには何とか完成させたいと思っていますが、中々対人環境を整えられないのが非常に辛い……(テストプレイが困難になってしまうので)。あとカードイラストについては何一つ考えていません。視認性が高ければ何でもいいでしょ(投げやり)という現状です。そもそも、イラストが売りではないですし。

はてさて、語る内容が無くなってしまったのでこの辺りで締めようと思います。Lattices and Orderの4~5章辺りが読み終わったらまた何か書こうと思います。それでは。